職場で異なる有給休暇事情

看護師が勤務する医療機関によって、福利厚生制度はさまざまだ。看護師の有給休暇の消化率は、日本看護協会が2020年に発表したデータによると年間50%~60%未満以下との回答が多い。これは、1年のうちに5日有給休暇を消化しなければならないという制度が新たにできたからだ。しかし、いまだに10%未満との回答もあり、福利厚生ましてや制度としてあるにもかかわらず有給休暇の取得が難しいのは問題と言えるだろう。

また、クリニックや外来でのシフトがカレンダー通りに進むケースも珍しくない。シフトは前もって組むのが一般的で、休日の決め方としては前月に自分が希望する日を申請する。そのうえで全体を調整しながら、師長や主任などがシフトを組むのだ。職場で働く人材が多く看護師の配置を厚くできれば、申請した休日の希望は通りやすいだろう。しかし、配置できる人材が少なければ、休日は希望通りにいかないこともある。

希望する休日の取得について、厳密な規則がない職場もあるのが現状だ。そのため、こうしたクリニックや外来で4週8休と決まっていても、職場の業務が回らない場合には出勤が余儀なくされることもある。医療機関では業務が回らなければ、休日よりも勤務を優先しなければならない状況も多い。労働環境の見直しが必要な場合でも、実際には厳しい現状がある。そうした理由から、休日の予定はシフトが組めるまで埋められないこともあるだろう。有給休暇のほか、介護休暇や子の看護休暇などもある。